そもそも、機械式時計とは

時計の世界で登場する基本的な用語として「機械式時計」や「クォーツ式時計」があります。これらは一般的にムーブメントの種類、いわゆる「動力の違い」で説明されます。「ムーブメント」とは時計内部の、針を規則正しく動かしている装置を指し、いわば機械式時計の心臓部。機械式時計のムーブメントは、その動力源として「ゼンマイ」を採用しています。ゼンマイを巻き上げて使うため、ゼンマイが全て解けたら「手巻き」または「自動巻き」どちらかの方式で、定期的にゼンマイを巻く必要があります。動力以外にも、そのような定期的なメンテナンスの必要性や時刻の精度といった面で、クォーツ式とは異なっています。

機械式時計を発展させたのは、宗教だった

英語の「clock(時計)」は、ラテン語の「clocca(鐘)」が起源だとされています。ここからも分かるように機械式時計の歴史は鐘から始まります。キリスト教が浸透していった中世ヨーロッパでは、各地に教会や修道院ができ、同時に鐘を鳴らす習慣も始まったとされています。修道院では祈りの時間や読書などが時刻ごとに厳格に決められていました。そこで時刻を知らせるために、水時計や日時計、砂時計などを活用して鐘や呼び鈴を鳴らしていたようです。その後、ヨーロッパの記録としては、1300年頃に初めて機械式の時計が、修道院や教会の塔上に出来たと言われています。このように機械式時計の発展は宗教活動と共にあり、当初は修道士に定期的に時間を知らせるのが目的でした。しかし、塔の上から響く鐘の音はしだいにその地域に住む人々にとっての公共の時刻となり、やがて社会全体の時刻に代わっていったのです。

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